【豆知識】大寒波が生んだ銘醸地のワイン

【豆知識】大寒波が生んだ銘醸地のワイン

【豆知識】大寒波が生んだ銘醸地のワイン

この記事を読むのに必要な時間は約 4 分です。


フランスの庭と呼ばれるロワール地方。
ロワール河沿いにシャンボール城など素敵な古城が多く建っている観光名所です。
今回は、ロワール地方の代表品種「ミュスカデ」についてご紹介します!




大寒波から生まれた品種「ミュスカデ」


ミュスカデは、中央フランスからゆったりと流れてくるロワール河が大西洋に流れ込む河口近くのナント地区(歴史的にはナントの勅令で有名)で造られています。
このブドウにはかつてこのナント地区を襲った異常気象によるとても悲しい歴史があるのです。

1709年にナント地区を襲ったとんでもない寒波はロワール河を凍結させ、この地区のブドウはほとんど全滅してしまったのです。
当然生産者は大打撃を受けましたが、それでもワイン造りへの情熱を絶やしませんでした。

彼らはとにかく寒さに強いぶどうを栽培しようと考えて、自分たちの地区よりもずっと気温が低い地区「ブルゴーニュ」で栽培されているぶどうに目をつけました。
そこで選ばれたのがブルゴーニュのメロンの香りのするブドウという意味の「ムロン・ド・ブルゴーニュ」
現在この地域では「ミュスカデ」と呼ばれているブドウです。

当時ブルゴーニュで栽培されていた「ムロン・ド・ブルゴーニュ」は名前の通りメロンの香りがしていたかもしれませんが、気候や土壌の違いからか、現在ロワール地方で栽培されているミュスカデにはメロンの香りはありません。

この「ムロン」が「ムスク(麝香=じゃこう)」となり、だんだん変化していって、「ミュスカデ」の語源になったと言われていますが、実際のところはよく分かっていません。

ちなみに、このミュスカデは、出身地であったブルゴーニュ地方では、現在ほとんど栽培されておらず、栽培面積は全体の1%にも満たないようです。

シュール・リー

ところで、ミュスカデのラベルにはよくシュール・リー(”sur lie”澱の上の意)と書かれています。
ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌというAOCが有名で、その上この言葉が加わるので、長い名前のワインが多いです。

シュール・リーについて簡単に説明します。
一般的にはワインが出来ると、上澄みを他へ移し、底の澱は取り除くのですが(=澱引き)、この手法を使用する場合はそのまま春まで澱引きをせずにおいておくのです。
(ちなみに、この地区では、最短でも収穫翌年の3月1日までこの状態寝かさなければないという規定があります)

こうして、ワインが澱(酵母)と長い間接していくことで、酵母は自己分解してアミノ酸となり、ワインに旨みが溶け込んでいきます。
ただし、雑菌などが繁殖しないよう温度管理が大切。
ひと手間かけたコクのある美味しいワインと言えるでしょう。

そんな、ミュスカデは生ガキや刺身などの和食にも相性良く重宝出来るブドウ品種の一つです。
名前は長いですが、この機会にぜひ覚えてみてください!!

減農薬農法の葡萄をシュール・リー製法により仕立てるワイン


ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ・シュール・リー
ドメーヌ・ド・ラ・ヴァンソニエール

品種 ムロン・ド・ブルゴーニュ(ミュスカデ)100%
参考上代 2,140円(税別)
JAN 2101040000208
⇒詳細はコチラ

ワインの豆知識カテゴリの最新記事